いきなりですが自己紹介をすると、自分は虹ヶ咲においてスクスタでは中須かすみ推し、アニメでは上原歩夢推しとしてオタクをしています。
なぜこのタイミングで自分の推し事情を語ったのかというのは、それが今回する話に関わってくるからです。
最近は他の虹ヶ咲のオタクの話を聞かせていただくことも増えてきましたが、自分のようにスクスタとアニメで推しキャラが違ってくる人ってあまり見かけたことないんですよね。
自分は基本的にキャラの容姿や性格というよりかは、作中のストーリーにおいてそのキャラがどのような行動をしたのか……という点でキャラを推す傾向にあるので、スクスタとアニメが別時空で違う物語が繰り広げられている以上「スクスタとアニメで推しが違うこと」自体は特に変なことでは無いと思っています。
ではもっと具体的に、なぜアニメでは上原歩夢に対する好感度が上がるのか、スクスタとアニメの間にあるどのような違いが要因になったのかを考えていました。
以前まで自分の頭の中にあった考えとしては、
・1話で個別回をした後、11話と12話で再び個別回があり、ソロ挿入歌も1人だけ2曲あるという構成の特別さ。
・全体を通してゆうぽむの絡みが可愛すぎた。
・スクスタではかすみと出会ってから歩夢をスクールアイドルに誘ったのに対して、アニメでは歩夢と一緒にスクールアイドルを始めようと決めてからかすみと出会った。(自分は他の作品でも「最初の仲間」ポジションのキャラを贔屓目に見がち。)
などなど……。
以前はこんなところで納得していたのですが、とあることをキッカケに自分の中でとてもしっくりくる考えが浮かんできたので、今回はそれを言語化してみたいと思います。
今回語る内容について考えが至ったキッカケというのは、アニメ2期放送前あたりの時期に発売されたTVアニメオフィシャルBOOKに記載されていた11話についてのシリーズ構成田中仁さんによるコメントです。
以下に該当部分を引用します。所持してる方は、71Pにありますので気が向いたら読んでみてください。
スクールアイドルはたくさんのファンと向き合うものです。歩夢と侑は大親友ですが、スクールアイドルとファンの1人でもあります。これはスクールアイドルになりたいと思った歩夢が越えなきゃいけない壁の1つで、彼女にはそういう成長が必要だろうと考えていました。
この言葉を聞いたあたりから、自分の中で少しずつピースがはまっていくような感覚になりました。
さて、ここから先の話を続ける前に、まずは前提とするために少し別の話をします。
アイドルなどの芸能活動をする人にも、友人や恋人などのプライベートの人間関係は当然あるはずです。
それ自体は別に何の問題も無いと思いますが、その友人の中には友人であると同時に、その人の活動を応援したり楽しんだりするファンであるという人も出てくると思います。まさに高咲侑が上原歩夢の幼馴染であると同時に、彼女のファンでもあるというのと同じような関係です。
それについてもやはり問題は特に無いと思いますが、ではその活動者が友人だからといってその人をファンとして優遇するようなことがあったとします。
ざっと例を挙げると、
・ライブのチケットを抽選無しでタダで用意してあげる。
・サインなどを無条件で書いてあげる。
・現時点では未公開の情報などを先行して教えてあげる。
……とかでしょうかね。まあ具体例の内容は何でも良くて、とりあえず「1人のファンが友人だからといって他のファンの人達よりも良い待遇を受ける」という状況というのだけイメージできれば無問題です。
そういう状況に対して、皆さんはどう思いますでしょうかね。別に良くない?という意見もあるでしょうし、正解の無い問いなのでその意見ももちろんアリだと思います。
ただ、自分の意見としては正直こういう状況はあまり肯定はできません。
友達であろうと、1人のファンとしての立場になるのであればそれは他のファンの人達と同じ扱いであるべきだと考えています。
例え友達であっても、その友達がファンの立場になったときに特別扱いせず、他のファンも同じくらい大切にするという人がいれば自分の中でその人の好感度ってかなり高くなるんだろうなと思います。
ここまで書いたところで何となくこの後の話の展開も予想されてしまいそうな気がしますが、話を虹ヶ咲に戻します。
先程引用したオフィシャルBOOKの記載を見たときに、当たり前のことながら侑と歩夢は幼馴染として強いキズナで結ばれている友人関係であると同時に、スクールアイドルとそのファンの内の1人という関係でもあるということを改めて感じさせられました。
ここで前提として話したことに戻ると、侑が歩夢にとっての大事な友達だったとしても、それがスクールアイドルとファンの1人としての関係になったときに侑のことだけ特別扱いして大切にするというスタンスだったら、個人的にそれはちょっと全肯定できない気持ちが強いんですよね。
では実際アニメにおける歩夢はどうだったか。
最初は歩夢のファンは侑だけしかいなくて、歩夢も侑のことだけしか見ていなかったけど、活動を続ける中で他にも歩夢のことを好きと言ってくれるファンの子達が現れた。そして歩夢の中で侑だけではなく、そのファンの子達も同じくらい大切な存在になっていた。
はじめは変化への恐れや侑への依存心もあってその気持ちを前に出すことはできなかったけど、せつ菜の後押しで自分の言葉も思い出し、新しい大好きに向き合うことができた。
そんな新しく大切なものが増えたことを歩夢は「前に進む」ということだと感じた。
このように、アニメ1期の11話12話では歩夢が侑だけでなく他のファンの子達も大事にしていけるように成長した過程が描かれていたと捉えています。
自分がアニメでの歩夢を大好きになった理由って、ここにあるのではないかな……と思いました。
歩夢が侑だけでなく他のファンの子達にも向き合う様子が丁寧に描かれていたからこそ、先程述べた「友達としての関係をファンとしての関係に持ち込むべきではない」という考え方を持つ自分に特に刺さったのではないかと。
歩夢が侑を抱きしめた後に集まってきたファンの子達も一緒に抱きしめるシーンがありましたが、あそこで歩夢が侑のことだけを抱きしめるようなキャラだったら、多分歩夢のこともゆうぽむのことも今ほど好きにはなっていなかったんじゃないかな、と思うんですよね。
アニメで歩夢が好きな理由という触れ込みで話を始めた以上、ではスクスタ時空の歩夢はどうなのかという話もする必要がありますね。(AとBを比べてAが好き、みたいな構文は極力避けるべきだとは思ってるんですが)
とはいえ、別にスクスタの歩夢が他のファンを蔑ろにしてあなたちゃんばかり贔屓しまくってるとまでは感じていないです。
それに、あなたちゃんはファンであると同時に侑と比べてスタッフとしての役割もより強い印象があるので、それゆえに他のファンには話さないようなことをあなたちゃんには話したりする……といった展開が多いのは自然なことかとは思います。
先程の例えでいうなら、ライブに何かしらの形で関わった人が関係者としてライブに招待されることを贔屓とは言わないでしょう。それと同じようなものです。
なのでアニメの歩夢にある要素がスクスタの歩夢には欠けてるとは思っていません。ただ、アニメではスクスタよりも明確に、歩夢が侑だけでなく他のファンも大切にするという様子を話の盛り上げ所として丁寧に描いているから、自分の心に残ったのかなと考えています。
色々と語って長くなりましたが簡単にまとめると、ゆうぽむの魅力って侑と歩夢には友人関係として強い絆を持っている一方で、その関係をスクールアイドルとファンとしての関係には持ち込まずに侑のことをあくまでファンの1人として向き合っているという、公私混同しない関係性にある……というお話でした。
最後に、引用で使わせていただいたのでTVアニメオフィシャルBOOKの宣伝を。
アニメのストーリーや印象的な場面カットを簡単に振り返れるだけでなく、監督や劇伴作家、キャスト陣などあらゆる方面の公式関係者のお話が聞けて読みものとしてシンプルに面白いです。
何より、この本に書いてあることはファンの個人的な感想や考察ではなくて、実際に製作に関わった方々が「これにはこういう意味がある」と名言されてるものなので、それは紛れもない真実なわけですから、アニメへの理解を深める資料的な価値も非常に大きい1冊になっています。
興味がある方はぜひ読んでみてください。
以上、ゆうぽむの話とTVアニメオフィシャルBOOKの話でした。