久しぶりに記事タイトルに「ゆうぽむ」って入ってない記事書きました。
というわけでカウントダウン劇伴リレー企画3日目。本日は「雨上がり、差す光」という曲について当ブログで語っていきます。
悩んだ末に
まず今回の企画において、なぜ「雨上がり、差す光」という劇伴を選んだのか。その理由から説明していきたいと思います。
理由の1つ目としては、高咲侑と上原歩夢の物語において重要なシーンで使用される曲だからです。これは企画の話を聞いた時に真っ先に曲選考の基準にしようと思ったポイントです。
音楽の専門的な知識のほとんど無い素人の自分が劇伴というジャンルについて執筆ができるくらい強い情熱を向けられるものはやっぱりこの話題だなと考え、曲の選考に臨みました。
ここで、「いや、もっとゆうぽむ要素の強い劇伴って他にもあるでしょ」と思った方もいるかもしれません。正直自分でもそう思っています。例えば「想い、花ひらく時」とかでしょうかね。
ここで2つ目の理由。それは、使用されたシーンの希少性です。
今回企画の話をいただいてから、せっかくこのような機会に劇伴について語るのであれば、その劇伴が使われた全シーンについて触れるようにしたいと考えました。
この劇伴はアニメを通して2回しか使用されていませんが、その使用場面である12話のシーンも13話のシーンも、どちらも自分の中で強く印象に残っていて、両者についてしっかりと向き合って記事が書けると思えたからこそ、この曲を選ばせていただきました。
先ほどの例えに出した「想い、花ひらく時」の話題に戻ると、確かにあれは侑と歩夢にとって大事なシーンで使われた劇伴ではありますが、それが全てではなくて、他には2期11話の果林のシーンで使われたりもしていましたね。
そのため、この曲について全てを語るとしたら、ゆうぽむのオタクであると同時に果林のオタクでもなければ難しいのではないか、というような感じです。
もちろん記事が書きやすいからというような理由で選んだわけではなくて、この希少性は劇伴の好きなポイントにも直結します。
ゲームやアニメでも、作中で流れる曲には定番ゆえの魅力があるものとレアさゆえの魅力があるものが存在すると考えています。
前者は例えば主人公が勝つ時に必ず流れるいわゆる処刑用BGMや、ゲームの雑魚戦で何度も耳にするようなBGM。
そして今回語る「雨上がり、差す光」は後者です。虹ヶ咲アニメを通しても特に重要な局面でのみ流れるからこその魅力。ゲームのラスボス戦BGMはラスボス戦でのみ聴けるからこそカッコいいのと同じです。
その使用局面の少なさゆえの魅力に惹かれたのも、今回この劇伴を選んだ理由のひとつです。
長くなりましたが前置きも終わったところで、「雨(上がり、差す光についての)トーク」を始めていきたいと思います。
主な登場人物
・高咲侑(スクールアイドル大好き芸人)
・上原歩夢(幼馴染大好き芸人)
・優木せつ菜(大好き大好き芸人)
ウキウキワクワクオフィシャルブック
先に曲の使用場面の紹介をします。前置きにも書いたように1期12話と1期13話の計2回使用された劇伴なわけですが、具体的に言うと
1回目:せつ菜からの「始まったのなら、貫くのみです!」という言葉を受け取った歩夢が侑の元へ走り出すシーン。
2回目:SIFで降り始めた雨が止んだ後に、歩夢が侑の手を引いて同好会メンバーと一緒に虹ヶ咲学園まで走り出すシーン。
となっています。
どちらもキャラクターが強い意志を持って走り出すシーンであり、「雨上がり、差す光」という曲の力強い曲調がより魅力を引き立てているなと思います。
この使用シーンについては個人的に衝撃を受けたことがありました。というのも虹ヶ咲のアニメ1期オフィシャルブックでもこの劇伴について解説が記載されているのですが、それによると、この曲は元々1期13話でみんなが走って会場に向かうシーンのために書かれた曲だとのことです。
……マジか。
いや、もちろん人によっては何も驚くことは無いのかもしれないですけどね。
自分は虹ヶ咲アニメの初見時、1期12話の歩夢とせつ菜のシーンで衝撃を受け、このシーンのことが好きであることはもちろん、このシーンにより虹ヶ咲アニメ全体への好感度も一気に上がったと言えるくらい強く印象に残ったシーンでした。
1期11話での重く暗い雰囲気が漂ってからの例の押し倒しシーンで、これからどうなってしまうのか……となっていたところに、ある意味その発端とも言えるせつ菜が、特に詳しい事情を知るわけではないけれど、たった一言の言葉で状況を好転させてしまった。
あのシーンは自分の心に深く刻み込まれるようなシーンでもあるため、「雨上がり、差す光」は1期12話のために作られた曲だと思い込んでいました。曲名が判明するまでは、頭の中では「始まったのなら貫くのみですのテーマ」と呼んでいたくらいです。
でもまさかの、本来の使い所は1期13話の方だったようですね。予想外ではありましたが、逆に1期13話のために作られた曲が1期12話のシーンの方にもあれだけピッタリというのも面白い展開だなとも思います。
ちなみに、サントラで聴くと「雨上がり、差す光」の最後には大きく音が鳴り響いて終わるのですが、この音は1期12話では鳴る前にフェードアウトしたのに対して、1期13話ではしっかり最後まで流れています。こういうことからも、この曲の本来の出番は1期13話の方だったということが読み取れたのかもしれませんね。
意味とりどりの虹
曲の中身の話に入る前にまずは曲名の話から。
虹ヶ咲は作品名に虹を冠するだけあって、メインテーマなど重要な劇伴の曲名にも「虹」と入っているものがありますね。
「雨上がり、差す光」という曲名には直接的に虹という言葉は入っていませんが、「雨上がり」であることと「光」が差すという虹が発生する条件となるワードが揃っています。
このように、直接虹という言葉を使うことなく虹を表しているのが美しいですし、この劇伴の重要性を象徴しているかのようにも思えます。
続いてこの曲名の好きなところは、12話で見るか13話で見るかで曲名の意味合いが変わるところです。
まずは12話から。
創作物において雨とは悲しいシーンや登場人物が悩むシーンなど、基本的にネガティブな場面での象徴表現として使われがちです。
アニメ本編では、11話後半から12話にかけて悩む歩夢や、それによって侑と歩夢の関係がギクシャクする様子が描かれました。実際にアニメ本編で雨が降ったりはしていませんでしたが、ここまでの展開が「雨」であると考えられますね。
そして、12話終盤ではせつ菜の「始まったのなら、貫くのみです」という言葉(これが「光」)によって雨が上がる。
そんな、悩む歩夢とそれを一言で背中を押したせつ菜のシーンを表したのが12話における「雨上がり、差す光」という曲名のニュアンスだと感じ取れます。
一方13話では比喩的ではなくもっと物理的な話。スクールアイドルフェスティバル中に降った雨が上がり、晴れた後で同好会メンバーが学校に向かって走るシーンが描かれています。このシーンが文字通りの「雨上がり、差す光」ですね。(もっとも、13話では雨のせいでステージが中止になる中で侑の心が折れそうになる様子も描かれていたので、13話も心情的な雨と捉えることもできると思いますが。)
ニュアンスは違えど、どちらのシーンを表すにも相応しい曲名になっているのが「雨上がり、差す光」の好きなポイントです。
ゆうぽむ、だけど、せつ菜
いよいよ本題である曲の内容と使用シーンの話。
この劇伴は序盤は弱々しく単調なピアノの音が続きます。これは曲名にもある「雨」を表しているのかなと思いました。
あるいは、11話で一歩も動けなくなってしまった歩夢の心情を表現しているようにも感じられます。
そこから少しずつ音が強まっていき、最も盛り上がる部分はアニメ11話の歩夢が走っているシーンで流れています。
このシーン、奥に見える標識が「Uターン禁止」になっていることから、迷いを捨てて走り出した歩夢の心情を表しているという演出は当時話題になっていたことが記憶にあります。
まさに曲のテーマである「勇ましさ」が全面的に出ていますね。
このシーンの凄く好きなポイントは、せつ菜は侑と歩夢に何があったのか詳細なことは知らないままだったことです。(何かがあったこと自体は察しているようでしたが)
詳しい事情は知らないままに問答無用で歩夢の心を照らすせつ菜の姿は、まさに光のように見えました。
もうひとつ好きな点は少し似ているのですが、せつ菜の言葉って歩夢の悩みに対する具体的な答えとかを示しているわけではないんですよね。どちらかと言うとそれは後の「変わらぬ想い」のくだりでの侑の役割であり、この時のせつ菜はただ貫くのみと背中を押しただけ。
虹ヶ咲で一貫して描かれているなと思うテーマは、新しいことへのチャレンジには不安や恐れもあるかもしれないけど、やりたいことならとにかくやってみれば良いということ。
それこそスクスタの締めくくりを飾った曲である「KAGAYAKI Don't forget!」の中でも「見たいミライ見よう それだけでいいんだよ」を始めとして、そのテーマを色濃く歌ったフレーズが散りばめられていたと思います。
このテーマは自分が虹ヶ咲という作品に魅了された要因のひとつです。そして、1期12話のシーンからもこのテーマを感じています。
歩夢の心の中にも新しいことや変化に対する恐怖はあるかもしれないけれど、細かいことはさておき、大好きなことなら貫いてしまえば良い。そんな力強さがこのシーンとせつ菜の言葉にはあり、そしてその力強さは劇伴にも表れているかのようでした。だからこそ自分はこの劇伴が大好きなのかもしれません。
燃ゆる上原激情
1期12話では雨によりほとんどのステージが中止になってしまったことによる悲しみや絶望感が劇伴前半部分により引き立ちます。
ここのシーンで侑が辛そうな表情をしているのは、恐らくステージが中止になってしまったこと自体もそうですが、スクールアイドルフェスティバルの成功が音楽科にチャレンジするための自信に繋がると思っていた侑にとって、フェスがここで終わってしまうことによる不安が大きかったのだと思います。
そこに「これで終わりになんて、できない」と声をかける歩夢や、副会長の計らいでまだステージはできるという事実。これが希望の光のようでした。
それから学校に向かって走るシーンでは、歩夢を始めとした同好会メンバーの姿の頼もしさに涙が出そうになります。これも劇伴の効果が大きいのでしょう。
余談として、2期では「未来ハーモニー with YOU」という劇伴が流れるくらい明確な未来ハーモニーのオマージュ展開がありましたが、個人的には1期13話でみんなが学校に向かって走るシーンにも結構未来ハーモニーっぽさを感じたんですよね。
1期12話と1期13話、2つのシーンを見比べて感じるのは、やはり歩夢の成長です。
1期12話では侑よりも精神的にやや未熟だった歩夢がようやく侑に追いつくようなシーンだったのに対して、1期13話では今度は歩夢が侑のことを引っ張れるくらい強くなっているシーンでした。
同じ劇伴が使用されているからこそ、1期12話の頃より1期13話での歩夢の精神が遥かに強くなっていることの変化がより際立って見えます。
裏話をさらけ出せ
ところで、選曲にあたり次点での候補として考えていたのが「自分をさらけ出せ」でした。「私は桜坂しずくのこと大好きだから!」のシーンや、「私だけの侑ちゃんでいて」のシーンなどで使われた劇伴ですね。
あくまで「雨上がり、差す光」について書く記事なのでこちらの深掘りは控えますが、どちらも曲の構成が似ていると思っています。「雨上がり、差す光」も「自分をさらけ出せ」も、前半では少し暗めで悲しい曲調ですが、後半ではガラッと変わり明るく力強い曲調になります。まるで、前半ではキャラクターが苦悩している様子を表し、後半ではそれに対する救いや答えを表しているかのように。
この構成が、作中のシーンの感動を強めているだけでなく、曲単体としての魅力も非常に上げていると感じています。この2曲についてはサントラで曲単体を聴いているだけでも泣きそうになるくらいです。
「大好き!!!」
というわけで長々と劇伴について語ってきました。
虹ヶ咲は作品の内容が内容なので、虹ヶ咲に触れてから自分も夢を追いかけたり、新しいことを始めようと思った人は多いのではないでしょうか。そして、時には足を踏み出すことに恐れや不安を感じることもあるかと。
そんな時に、この劇伴、使われたシーン、せつ菜の言葉、それらが背中を押すような存在になれば良いなと思います。
ココロが想う本当の願い大切にね!
……いや、こういうのは製作に関わった人が言うならともかく、ただ感想語っただけのオタクが言うような言葉じゃない気がするけど!
謎めいて、公式
最後に、担当楽曲の話ではありませんが劇伴ブログ企画ということで劇伴に関する雑談を少し。
最近、劇伴について唐突に公式から爆弾が投下されましたね。
現在、虹ヶ咲が再放送中ですが、こぼれ話を一つ。
— 河村 智之 (@mimulan25) 2023年6月6日
虹ヶ咲1期の未使用曲「2つのヴァイオリンのためのソナタ」は元々11話のラストシーンで使用される予定でしたが、実際にはめてみたら刃傷沙汰が起こりそうなホラー味が出てしまったので、現状の曲に差し替えました。#虹ヶ咲
河村監督のツイートでサラッと明かされた裏話、1期11話のラストシーンでは本来「2つのヴァイオリンのためのソナタ」を使う予定だったけど曲の雰囲気的に変更になったという話。
元々曲名にある2つのヴァイオリン=ゆうぽむのことだとは想像していましたが、ここに来て本来の使う予定だった箇所が明かされるとは思っていませんでした。
これを知っていたら今回の担当曲もこれになってたり……は、さすがに無さそうですね。いくら何でも本編未使用曲について語れるほどの劇伴力は持ち合わせていません。(劇伴力?)
今後も、今回の件のように後から唐突に劇伴についての公式見解が明かされる可能性はあると思います。
もしかしたら、今回の企画で書いた劇伴記事の内容がひっくり返るような展開もあるかもしれません。というか、実際にそんな感じのことがありまして……。
【大・大・大告知‼️】
— ぎぬま*@Melody_is_TOKIMEKI (@NEXT_Ginuma) 2023年3月1日
4月16日開催 #僕ラブ37 にて虹ヶ咲のファンブックを頒布します!
全26話の感想 📕
アニメの時系列カレンダー🗓
虹ヶ咲が歩んできた歴史表🎶
四コマ漫画🌈
など内容盛りだくさんです‼️
※イベントでの頒布は "のみ" になります
※取り置き希望の方はお早めにご連絡ください! https://t.co/9enUunY0oc
今回の劇伴ブログ企画の参加者も多数参加しているこちらの合同誌、自分も1期11話の感想を寄稿させていただいたのですが、寄稿した原稿の中で劇伴についても少し触れました。
ちなみに許可貰ってるのでここで情報漏らしますが、こちらの合同誌は近々増刷する予定らしいです。
ザックリ内容を説明すると、1期11話の押し倒しのシーンで「自分をさらけ出せ」が流れたのは、歩夢にもこういう側面はあるんだよと本当の歩夢がさらけ出されるシーンだからではないか、という話です。
ですが先ほど触れた河村監督のツイートのように、このシーンでは本来「2つのヴァイオリンのためのソナタ」を流す予定だったのが曲調の理由から変更になっただけであり、選曲理由に曲名は関係無かったわけで、その説は否定されたことになります。
でもそれは残念なことではなくて、少なくとも当時の自分はそう考えたということを記録に残したことに価値があると思いますし、創作物を楽しむ際に作り手側の意図とは違う見方をするというのは1つの魅力だとも考えています。
「雨上がり、差す光」の魅力のひとつは使用されたシーンの希少性であるという話を本文でしましたが、これでOVAが公開された時に侑も歩夢もせつ菜も全く関係ないシーンで乱用される可能性だってある訳です。でも別にそれでも良いんです。
今回の企画で上がる他の方の劇伴ブログを読む際や、あるいは今回の企画に影響を受けて劇伴について語ってみたくなった方などいれば、公式の意図は〜とか気にせず自由に楽しんでいただければ良いんじゃないかなと思います。(これ劇伴に限った話じゃないですけどね)
次の担当はだれなのかしら?
それでは、カウントダウン企画もOVAの公開も最後まで楽しく盛り上がっていただければ幸いです!
「ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会NEXT SKY」まであと4日!
明日の劇伴担当はわらみんさん(@WaraminLiver123)です。
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